君たちはどんなシゴトがしたいか

新卒エンジニアの妄想日記

「アニメーションの色職人」を再読して

ジブリ色彩設計をしていた保田道世という女性について書かれた本がある。

 

今年の上半期にこの本を買って、面白かったからすぐに読み終えてしまった。

今よりもアニメというものがまだ世の中に知られてなくて、アニメ周りの技術も成長途中だった時代に、東映動画のアニメ製作の道に進み、後にジブリで「色を決める」仕事をしていた女性について書かれた本である。

 

彼女はジブリの初期、もっと言えばジブリができる前から宮崎駿高畑勲とアニメーション作りを共にしていた人物。でもアニメが好きで就職先を選んだわけじゃなくて、どちらかといえば成り行きでアニメの世界に入ってきたらしい。

 

この本では、そんな彼女の仕事観を私生活や仕事に対する姿勢、日本のアニメーションの変遷と織り交ぜながら語っている。

 

会社から内定をもらって、これからさぁ働いてくぞという時に、仕事の捉え方というか向き合い方のヒントになるんじゃないかと思って再読した。

 

いくつか印象に残った文章に付箋を貼っといたから、記録しておく。

 

「太陽の王子」に入る前、高畑さんが、「天災は一人で抜きん出てやっていくけれど、僕たちは凡人であったことを幸せに思おう。僕らはいろんなことを考えて”一緒”にやっていこう」という意味のことを言っていたの。

 

ジブリは、設立当初、「1本成功したら、次をつくる。失敗したらそれで終わり」という考えで始めた。鈴木さんは、「ですから、スタジオの場所だけは確保しておくけれど、リスクを軽減するために、スタッフも社員として雇わず、作品ごとに七十人ほどのスタッフを集めて、完成すると解散するというスタイルを取りました。」と言う。

 

どんなに仕事が忙しくても、会社以外の人たちとの交流も欠かさず、自分を解放する術を身につけているわけだ。それが、切羽詰まった時期にお花見を計画する発想と余裕を生み出すのだろう。

 

「僕らは仲良しごっこをしているわけじゃない。戦友なんです。お互いに戦友として、ときには愛し合い、ときには憎しみ合い、ゴミ扱いしながら、仕事をするのが、ものをつくるということなんです」

 

「仕事をするということは、人に迷惑をかけることもあるけれど、煩悩から生まれるエネルギーもある。内的衝動や、意固地さ、自負心がどのくらいあるかが勝負なんです。」